私たちは生きていく中で、仕事の失敗や人間関係の悩み、突然の病や別れなど、さまざまな困難に向き合うことがあります。
思い通りにいかず、心が折れそうになる日もあるでしょう。
では、そんなときにどうすれば、その逆境を乗り越えられるのでしょうか?
今回ご紹介するのは、田坂広志氏の著書「逆境を超える こころの技法」です。
この本は、人生に迷いや不安を抱えている方にとって、きっと大きな気づきとなる一冊になることでしょう。
2017年にPHP文庫から刊行された本書は、自己啓発的要素を持ちつつ、著者ならではの哲学的・精神的な「こころの技法」を説いています。
精神的側面に重点を置きつつ、読者が今の状況を受け止め、前向きに生きるためのヒントが随所に散りばめられています。
読み進めるうちに、逆境とは避けるものではなく、自分を成長させる大きな機会なのだと、著者の言葉が深く心に響いてきました。
田坂氏自身の過酷な体験から生まれた言葉の一つひとつが、読者の心にそっと寄り添ってくれます。
この記事では、本書の概要や読者の感想、そして私自身がとくに心を動かされたポイントについて、書評を交えながら丁寧にご紹介していきます。
人生に迷いや不安を抱えている方にとって、きっと大きな気づきとなる一冊になることでしょう。
本の情報

出版年月 | 2017年12月 |
著者/編集 | 田坂 広志 |
出版社名 | PHP研究所 (PHP文庫) |
発行形態 | 文庫 |
ページ数 | 257ページ |
価格 | 770円(税込) |
ISBNコード | 978-4-569-76805-2 |
目次
本書は、読者が逆境を乗り越えるための思考法を段階的に学べるよう、 分かりやすい構成になっています。
- なぜ、「自己嫌悪」の深い人間が、成長するのか
- 誰も大声では語らない「人生の真実」とは何か
- なぜ、他人に対して「嫌悪感」を感じてしまうのか
- 人生の分かれ道で、真に「運命」を分けるものは何か
- 「逆境」を越える「究極の言葉」とは何か
本の概要

本書は、読み手が自らの内面と向き合いながら、一歩ずつ心の成長を遂げられるように、章ごとに丁寧に構成されています。
各章のテーマは、誰もが抱える心の問いに寄り添い、順を追って深く掘り下げていく形で展開されます。
冒頭の章では、「自己嫌悪」という多くの人が経験する感情が取り上げられています。
一見するとネガティブな印象を受けるこの感情も、見方を変えれば「成長への入り口」であることが語られます。
さらに読み進めると、「人生の真実」や「他人への嫌悪感」など、より根源的なテーマが登場します。
これらの章では、私たちが日々感じているモヤモヤとした思いや悩みを丁寧に言語化し、心の仕組みをわかりやすく説き明かしています。
自分自身の心の動きを、少し距離を置いて見つめ直す時間になることでしょう。
中盤では、人生において避けて通れない「選択」に向き合うための大切な心構えが語られます。
そして最後の章では、本書の核ともいえる「逆境を乗り越える究極の言葉」へと導かれます。
このように、読者が心の奥底で抱える問いに少しずつ答えていけるよう、全体が巧みに構成されているのです。
本書の根底にある最大のテーマは、「人生に起こるすべての出来事は、良きこと」という考え方です。
著者である田坂広志氏は、失敗や病、挫折といった逆境を、「不運な出来事」として捉えるのではなく、それらは自分を成長させるために与えられた大切な機会であると語ります。
それは、目の前の苦しみに意味を見出すというよりも、「その出来事をどう受け止め、どう解釈するか」という視点の転換です。
このような見方を身につけることで、私たちはただ翻弄されるのではなく、自らの力で逆境の中にある学びや成長の種を見出すことができるようになります。
本書のねらいは、そうした「解釈する力」を養い、困難な状況の中でも希望を見失わず、それを心の糧として乗り越えていくための「こころの技法」を伝えることにあります。
文章は語りかけ調で書かれていて、思想や哲学といった抽象的な内容も、具体的で親しみやすく理解できるよう工夫されています。
読んでいるうちに、著者と直接語り合っているかのような感覚になり、自分自身の人生に重ね合わせながら深く考えることができる構成です。
「逆境を超える こころの技法」をネットで調べた他の読者の声

田坂広志氏の著書「逆境を超える こころの技法」は、多くの読者の心に強く響いています。
インターネット上の感想を見ても、その評価は非常に高く、多くの方が人生への見方が変わったと語っています。
たとえば、ある読者は次のように述べています。
「これまでの人生で起きた出来事を、しっかり受け止めるという考え方に感銘を受けました。頭では理解していても実際に行動するのは難しいことですが、著者の力強い言葉に背中を押されました」
また、別の方はこう話しています。
「悲しみや苦しみといった感情は、ただつらいだけのものではない。むしろ、自分の内に眠っていた可能性を引き出すきっかけになることに気づかされました」
本書は、語りかけるような文体で進むため、内容がとても読みやすいという意見も目立ちます。
「語りかけるような文体で、自然と頭に入ってくる」といった声が寄せられていて、文章のやさしさや理解のしやすさが好評を得ています。
一方で、「わかっていても、自分の考え方を変えるのはやはり難しい」といった正直な感想もありました。
しかしそれでも、「読み終えたあと、ふとした瞬間に著者の言葉が思い出される」といった意見が多く見られます。
それだけ、言葉のひとつひとつが心に残るのだと感じさせられます。
全体を通して、読者たちはこの本を「気休めの本」ではなく、「人生の本質に迫る、実践的な指針が詰まった一冊」として受け止めているようです。
著者自身の体験から紡ぎ出された言葉には、飾りのない真実と、確かな説得力があります。
その深さこそが、多くの人の心を動かしているのだと言えるでしょう。
「逆境を超える こころの技法」の評価と書評

田坂広志氏の著書「逆境を超える こころの技法」は、人生の困難に立ち止まったとき、私たちの「心の持ち方」を根本から見直すきっかけを与えてくれる一冊です。
本書が伝えているのは、「逆境とは、ただ乗り越えるべき試練ではなく、自分を成長させる機会である」という考え方です。
とくに印象深いのは、「人生で起こること、すべて良きこと」という思想。
一見すると楽観的にも思えますが、著者はこれを自らの「生死をさまようような体験」など、深い実体験を通じて語っています。
だからこそ、その言葉には揺るぎない説得力と重みがあります。
本書の中でも強く心に残ったのが、「正対」という言葉です。
これは、つらい現実から目をそらすのではなく、真正面からしっかり向き合う姿勢を意味します。
困難な状況に直面したとき、私たちはつい、「なぜ自分だけが」と嘆いたり、他人のせいにしたくなります。
しかし著者は、「その出来事には、何か意味があるのではないか?」と問いかけることで、苦しみをただの痛みではなく、学びへと変える姿勢の大切さを説いているのです。
僕自身、この考えに深く共感しました。
というのも、僕も仕事での失敗や人間関係の悩みを何度も経験してきました。
そのたびに、「この出来事に意味がある」と信じて向き合い続けてきたからこそ、自分の進むべき未来をひとつつずつ手に入れてこられたという実感があるからです。
なお、「大いなる何か」といった表現については、人によっては少し宗教的に感じるかもしれません。
けれども、これは特定の信仰を勧めているわけではなく、「人知を超えた何かへの敬意」や「謙虚な姿勢の大切さ」や「ワンネス」を語っているものとして読むと、すっと心に入ってきます。
本書に書かれていることを、すぐに実生活に取り入れるのは簡単ではないかもしれません。
けれども、何度も読み返し、日々の生活の中で少しずつ意識していくことで、物事の見え方が変わってくるはずです。
そしていつのまにか、心の重さが少し軽くなっている自分に気づくかもしれません。
人生に迷いや不安を感じている方には、とくに手に取っていただきたい一冊です。
自分の内側にある「変わる力」を信じたくなる、そんな気づきを与えてくれる本だと感じました。
「逆境を超える こころの技法」をチェックする
「逆境を超える こころの技法」のオススメの読者層

田坂広志氏の「逆境を超える こころの技法」は、人生に立ち止まりそうになったとき、自分自身を支える“心の軸”を見つけたい方に読んでいただきたい一冊です。
以下のような方には、とくにオススメです。
- 仕事や私生活で困難な状況に直面している方
逆境とどう向き合えばよいのか悩んでいる方にこそ、この本の力を感じていただけるはずです。
苦しみを成長の機会ととらえ、自分を立て直すための「こころの技法」を学ぶことができます。
どん底の中にあっても、一筋の希望を見いだすきっかけとなるでしょう。 - 自己成長や内面の変化に関心がある方
問題解決の手法にとどまらず、人としてどう成熟していくかを深く考えさせてくれる内容です。
日常の出来事を通して、自分の心のあり方を見つめ直す機会を得たい方に向いています。 - つい物事を悲観的に受け止めてしまう方
他人と比べて落ち込んだり、現実に不満ばかりを感じてしまう人にも、本書は大きな気づきを与えてくれます。
「解釈力」という考え方を知ることで、日々の出来事に対する見方が少しずつ変わり、気持ちが前向きになるでしょう。
これらにひとつでも当てはまる方には、ぜひ一度「逆境を超える こころの技法」を手に取っていただきたいと思います。
人生の困難に、意味と価値を見いだせる視点を得ることで、自分の歩む道に新たな力が湧いてくるはずです。
「逆境を超える こころの技法」の類似作品の紹介

田坂広志氏の「逆境を超える こころの技法」を読んで心を動かされた方には、同じように人生の困難と向き合い、乗り越えるための力を与えてくれる本もあわせて読んでいただくことをオススメします。
ここでは、とくに共通点のある2冊をご紹介します。
- 田坂広志 著「すべては導かれている 逆境を越え、人生を拓く 五つの覚悟」(2017年)
同じ著者による一冊で、本書と同じく「逆境」をテーマに据えています。
「五つの覚悟」という具体的な実践項目を軸に、日々の暮らしの中でどう生きるかを深く掘り下げているのが特徴です。
「こころの技法」で感じた学びを、さらに現実の行動に落とし込みたい方にぴったりです。
2冊を読み比べることで、田坂氏の思想がより立体的に理解できるでしょう。 - ヴィクトール・フランクル 著「夜と霧 新版」(2002年)
第二次世界大戦中、ナチスの強制収容所に送られた心理学者フランクルが、自身の極限体験をもとに人間の尊厳と希望を問い直した世界的な名著です。
過酷な環境下でも、「生きる意味」を見いだすことができるという信念は、「逆境を超える こころの技法」で語られる考え方とも深く重なります。
精神的な強さとは何か、人間とは何かを真剣に見つめたい方に読んでいただきたい一冊です。
どちらの作品も、ただの「逆境克服マニュアル」ではなく、読者の心に静かに深く問いかけてくる内容です。
「逆境を超える こころの技法」で心に残った言葉や気づきを、さらに広げたい方は、ぜひこれらの関連書籍にも目を通してみてください。
きっと、新たな視点と勇気が得られるはずです。
著者について

「逆境を超える こころの技法」の著者・田坂広志氏は、日本を代表する思想家であり経営学者です。
1951年生まれ。東京大学大学院では原子力工学の博士号(原子力工学)を取得後、三菱金属株式会社に入社し原子力事業に従事、その後日本総合研究所の設立に参画し、取締役・創発戦略センター所長等を歴任しました。
現在は多摩大学大学院の名誉教授を務めるほか、シンクタンク「ソフィアバンク」の代表としても知られています。
また、2011年の東日本大震災後には、内閣官房参与として復興支援に尽力されるなど、社会的な役割にも積極的に関わってきました。
単なる学者にとどまらず、現場での経験と社会全体を見据えた行動力を兼ね備えた人物です。
田坂氏の著作は国内外で100冊を超え、「知性を磨く」「人間を磨く」「運気を磨く」などの「磨く」シリーズをはじめ、幅広い読者に支持されています。
その内容は、科学技術や経営戦略、国際問題にとどまらず、働き方や生き方、さらには死生観にまで及びます。
とくに注目したいのは、氏が一貫して「目に見えないものの価値」に焦点を当ててきたことです。
合理性や効率性だけでは語れない、人の縁、精神性、直感といった要素にも真剣に向き合い、それらを丁寧に言葉にしてきました。
今回ご紹介している「こころの技法」も、まさにそのような田坂氏の深い思索と実践から生まれたものです。
数々の経営者やリーダーたちから厚い信頼を得ているのも、その背景に「実際に生き方として通じる哲学」があるからこそでしょう。
田坂氏の著書を手に取ると、日々の悩みや迷いに対して、決して押しつけではなく、そっと寄り添いながら導いてくれるような力を感じます。
書を通じて、著者の思想の一端に触れてみるのも、大きな学びとなるはずです。
「逆境を超える こころの技法」のよくある質問

- 本書は宗教的な内容なのですか?
- 本書の中には「大いなる何か」といった表現が登場するため、人によっては宗教的な印象を受けるかもしれません。
ですが、著者の田坂広志氏は、特定の宗教や教えを説いているわけではありません。
ここで語られている「大いなる何か?」とは、神の名を借りた教義ではなく、私たちの力の及ばない自然の摂理や、宇宙の大きな流れといった、より普遍的な考え方です。
重要なのは、「自分ひとりの力だけで生きているのではない」という謙虚な心のあり方を大切にしようという姿勢です。
読者に信仰を求めるものではありませんので、どのような価値観の方でも安心して読むことができます。
- 本に書かれていることを実践するのが難しそうです。どうしたらよいでしょうか?
- 確かに、本書で語られる内容は深く、すべてをすぐに実生活に取り入れるのは簡単なことではありません。
ですが、最初からすべてを完璧に実践しようとする必要はないのです。まずは、心に残ったひとつの言葉を意識してみることから始めてみてください。
たとえば、「人生で起こること、すべて良きこと」という一節を、つらい時にそっと思い出すだけでも、心がふっと軽くなることがあります。
一気に変わろうとせず、繰り返し本書を読みながら、少しずつ日常に取り入れていく。
それがこの本と向き合ううえで、いちばん大切な姿勢だと言えるでしょう。
まとめ
この記事では、田坂広志氏の著書「逆境を超える こころの技法」について、概要から読者の声、オススメの読者層や類書との比較まで幅広くご紹介しました。
本書は、単なる自己啓発ではなく、人生のどん底に光を見出すための「こころの教え」が詰まった一冊です。
- 本書の核となるのは、「逆境は成長のための機会である」という見方を育てる「解釈力」です。
- 「正対」や「引き受け」といった心の姿勢を、語りかけ調でやさしく解き明かしています。
- 著者の実体験から生まれた言葉には、時代や立場を越えて人の心を動かす力があります。
もし今、人生の中で悩みや壁にぶつかっている方がいれば、この本が大きな支えとなるかもしれません。 「自分だけがつらいわけじゃない」「この経験にもきっと意味がある」――そう思えるようになる一冊です。
どうか、心が迷ったときに、そっと本書を開いてみてください。 きっと、あなたの中にある強さが、静かに目を覚まし始めるはずです。
「逆境を超える こころの技法」をチェックする